今回は民法の「債務不履行」について確認します
まず、債権について改めて確認します
「債権」とは…
債権者が債務者に対して、特定の行為(給付)を請求する権利のこと
→物件と異なり排他性がないもので、同一の内容の債権が同時に存在することもできる
債権の効力は…
債権者は債務者に給付の請求をし、その債権の給付を受領することができる
弁済期が訪れても債務者が履行をしないときは、債権者は「裁判所」に債権の強制執行を訴えることができる
[民415条]債務不履行による損害賠償
⚠️改正あり
債務者が債務の本旨に従った履行をしないときまたは、債務の履行が不能であるとき
=原則、債権者は損害賠償を求めることができる
例外=債務者に帰責事由がない場合は損害賠償責任が免責される
◆債務不履行の成立要件
・債務の本旨に従った履行をしないこと
・債務者に帰責事由があること
・債務者に違法性があること
この「帰責事由」は契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして判断される
債務不履行の種類は、履行遅滞、履行不能、不完全履行の態様があります
⚠️改正(新設)
[民415条2項]
損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者の債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができるケースを定めています
・債務の履行が不能であるとき
・債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき
・債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、または債務の不履行による契約の解除権が発生したとき
「債務の履行に代わる損害賠償の請求」とは本来の給付に代わる損害の賠償のことで、「填補賠償」といい、履行の遅滞によって生じた損害の賠償を「遅延賠償」といいます
改正民法により、帰責事由の要件は判例法理により認められていたのが明文化され、帰責事由の内容が個別の判断によることになった点に注意したいです
また、金銭債務については、債務者は帰責事由の不存在を抗弁とすることができないこともおさえておきたいです