今回は民法の「相殺」について確認していきます
例えば、AがBから損害を受けた場合において、AはBに対してその損害の賠償請求権を有することになります
この時にBがAに対して賃金債権を有していた場合にどうなるのかという問題です
◆不法行為による損害賠償請求権
→不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止【民509条】
・悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
・人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務
これらの債務の債務者は相殺をもって債権者に対抗することはできないとされます
その理由は、被害者が現実の金銭にて賠償を得られるようにとの趣旨です
また、不法行為による損害賠償請求を自働債権とする相殺は認められています
この辺混乱しがちになってしまいますが、
不法行為に基づく損害賠償請求権は
「受働債権」としては相殺×
「自働債権」としては相殺○
として暗記してしまうか、加害者側から、例えば殴りかかってきた人から、「相殺してくれ」というのは認められないというイメージを持つと覚えやすいと思います
さっきのケースでは、AからBへの相殺は可能ですが、Bから Aへの相殺は不可とされます
つまり、「被害者」からは相殺ができるという意味です