今回も行政法の国家賠償法の6つの条件について確認します(キレが悪く行政法が続いてしまっております🙇♂️)
では、⑥の「相手方に損害が発生していること」からです
◆相手方に損害が発生していること
→経済的な損失が発生している場合は当然賠償することになっていますが、精神的な損失については色々な議論がありました
結論から言うと、精神的損失も国家賠償の対象となります
判例を確認します
【最判平成3年4月26日】
この事件は昭和43年から熊本県知事に対して原告の24名が水俣病の認定を求めていたが、知事は数年間この申請を認定の難しさもあり、放置しているような状態でした
そこで原告らは、何年も放置されたことにより、焦り、不安による苦痛を受けたとして慰謝料を求めたものです
これが、精神的な損失による請求です
・最高裁の判断基準
=焦り、不安により精神的苦痛を味わった場合、国家賠償によって償われるとしました
但し、ほんの少しの期間であればその対象とはならないとし、相当な期間を超えてさらに長期間遅れている場合としています
この「長期間」という基準は曖昧ですが、この判決で重要なのは、精神的な損失でも賠償してもらえるとしたところです
◆国家賠償法1条2項
→故意又は重大な過失があったときはとりあえず国又は公共団体が被害者に賠償し、後からその公務員個人に返還するように言える
ポイントは、通常の過失であれば公務員は個人的にお金を返還する必要はないことです
また、この国又は公共団体による「求償権」は行使するのかどうかはその国、公共団体の裁量によります