<行政法>国家賠償法1条 違法性の有無

行政法

今回も国家賠償法1条の6つの条件を確認します
前回は③まで見たので、④の「故意又は過失があること」からです


④故意又は過失があること
→当然ですが、故意は論外となりますが過失の判断が問題となります
それは、個人の能力差は色々とあるためです
公務員1人1人の能力を判断するのは困難です

そこで、通常の職務上要求される標準的な注意義務に違反したかどうかが基準となります


⑤違法性があること
→「違法」の意味は、法律に反する行為をしたこと
権利の濫用をしている場合や信義則に反している場合も違法性があります

判例を確認します
【最判昭和61年2月27日】
この事件は富山警察の警察官がパトカーでパトロール中にある車がスピードオーバーをしていたので追跡をしました

その際に、サイレン、赤色灯も付けていました
そのスピードオーバーの車は逃げていましたが、途中で車を止め、パトカーは諦めたと思い後ろに車を止めて近づきます

ところが、その車は突然Uターンをして逃げてしまいました
パトカーは慌てて追いかけていましたが途中で見失い、サイレンは消して、赤色灯だけを付け40キロに減速して探し始めます

逃げていた車は振り切ったと思い70キロくらいに減速をしましたが、バックミラーにパトカーの赤色灯を見て(本当に見えたのかどうかは定かではない)、再び加速して何度も信号無視をして逃げましたが、ある交差点で3台を巻き込む事故を起こし3人が重症を負ったものです

そこで追突をされた人が、パトカーの追跡の仕方に問題があるとして訴えました
当然問題があれば、国、公共団体は責任を負うことになります


・最高裁の判断基準
→結論から言うと追跡の仕方には問題はなかったとしました

裁判長は警察官の職務について「警察官は異常な挙動をしている人を見たら停止させて質問をする職務があり、また現行犯を見つけたら逮捕、検挙する任務がある」とし、追跡は当然の職務で何ら違法性はないとしました

被疑者が逃走をしている場合は、逃走の態様と、交通状況から判断して、追跡が妥当かどうかを判断しなければなりませんが、今回の場合はこのような事故を引き起こす具体的な危険性は予測出来なかったとしました

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