今回は民法の「権限外の行為の表見代理」について確認していきます
◆詐称代理人に対する弁済
弁済者、相手方側の要件は善意無過失(民478条)で、詐称代理人に権限があると信ずべき正当な理由(民110条)が必要とし、真の債権者、本人側の要件、つまり帰責事由は基本代理権の存在となります(民110条)
問題となるのは銀行での取引となります
この問題では判例がいくつかあります
◆民478条の適用、類推適用の拡大<判例>
【最判昭41年10月4日定期預金の期限前払戻】
【最判昭63年10月13日総合口座取引における当座貸越】
この他にも定期預金担保貸付のもの(昭48年3月27日、昭59年2月23日)などがあります
◆盗難カード
→金融機関が過失を立証できない場合は、金融機関が全額保証するのが原則となります
例えば、預金者が自分の暗証番号を周りに教えていたや、暗証番号を誕生日にしていて免許証と一緒に盗まれたなどは、預金者の過失を立証すれば、全額の保証は免れるとされています
また、民法478条は対面払いを前提としているため、ATMにおいてはそのシステム上の管理が基準となってきます
例えば、キャッシュカードに暗証番号が組み込まれていたものは、判例では無過失ではないとされたものがあります
◆定期預金の期限前払戻し
→定期預金が中途解約による期限前払戻し、これに民法478条の適用はあるのか
=中途解約は法律行為であるので、弁済行為の民法478条は適用されないと考えられるが、実質的には民法478条を適用としています
そのため、予定されている預金者も必要があれば引出せることになっています