今回は民法の「受領遅滞」について確認していきます
「受領遅滞」については、「法定責任説」と「債務不履行説」で”帰責事由”について必要なのか不要なのかや、受領遅滞の効果として認められるのかが分かれてきます
少し細かくなりますが一つずつ確認していきます
◆提供の効果【民492条】
①債務不履行の責任が発生しない
②債権者の同時履行の抗弁がなくなる
【民533条】
③弁済の供託【民494条】、自助売却【497条】が可能となる
これらについては、「法定責任説」「債務不履行説」ともに提供の効果とされます
◆受領遅滞の効果【民413条】
①目的物の保管についての注意義務が軽減される
②増加費用の請求【民485条但書】
③危険の移転
・「法定責任説」→帰責事由不要
・「債務不履行説」→帰責事由必要
◆損害賠償請求、解除
・「法定責任説」→受領遅滞の効果としては認められないが、契約解釈などにより認められる余地はある(帰責事由必要)
・「債務不履行説」→受領遅滞の効果とする(帰責事由必要)
このへんは、各説での考え方となりますが、参考に判例を挙げておきます
【大判大正4年5月29日】
【最判昭和46年12月16日】
判例では、受領遅滞と債務不履行は別とし、債権者に帰責事由がなくても、これらの効果が発生するとしています
民法では、結論だけではなく、どの説がどのような論拠でその結論を導き出しているのかまでおさえておくと、思考型の問題にも強くなれます💪