今回は憲法の「憲法上の地方公共団体の論点」
について確認していきます
◆憲法解釈上の論点
・都道府県(広域的な地方公共団体)と、市町村(基礎的な地方公共団体)という2段階制については憲法で要求されているものなのか?
・特別区も憲法でいう「地方公共団体」なのか?
という2つがあげられます
まず、戦前の都道府県は完全な自治体とはいえないものでした
例えば、知事は国の任命によるものであったなど
また、昭和27年〜47年の間、地自法では、特別区の区長は特別区の議会(その議員は住民による直接公選制)が都知事の同意を得て選任するといった規定でした
2段階制については、度々話題に上がる道州制の問題もあります
これは、北海道や東北、九州などの広い地域を一つの「道」や「州」にするといったものです
こういった「道州」といった広域自治のあり方については、都道府県の廃止など国民の生活に大きな影響を与える可能性もあり、推進法の整備や国民との論議などの課題があります
◆特別区の問題
→憲法でいう「地方公共団体」に当たるかどうかの判断の基準について、判例・多数説は「沿革(歴史)・共同体意識説」をとっています
この説は、地方公共団体は自主的な地域共同体としての沿革があり、地域住民にも共同体意識が備わっているとしており、特別区と市は完全に同等だったことがなく、住民にも区を独自の地域共同体と捉える意識がないことを理由としています
また、最高裁の「地方公共団体」の見解は…
→単に法律で取り扱われているだけでは足りず、事実上住民が経済、文化的に密接な共同生活を営むことと、共同体意識を持つ社会的基盤が存在していることを必要としています
【最判昭和38年3月27日】