今回は民法の「即時取得」について確認します
◆即時取得【民192条】
→取引の安全を考えて、動産の占有の公信力を認め、権利を取得するもの
即時取得は動産を占有している無権利者を真の権利者と過失なく信じて取引をした者に、その動産の所有権を取得させるものです
これには、「現実の引渡」と、「簡易の引渡」は即時取得が認められることに争いはありませんが、前回確認した「占有改定」と、「指図による占有移転」では争いがあります
◆即時取得の要件(5つ)
①取引の客体が動産
②A・C間が取引による承継取得
③前主Aが無権利ないし、無権限
④譲受人の取得が平穏かつ公然、善意無過失
⑤Cが取引の客体の占有を取得すること
◆占有改定のケース
例えば、AがBからカメラを借りて占有しているのをAのカメラと信じたCがAからこれを買って占有改定によって占有を取得したような場合
公信力の原則からすると、Cは即時取得し保護されるように思えますが、判例は占有改定による即時取得を否定しています
占有改定で即時取得が認められない理由としては、現に占有していない買主に即時取得を認めると一般取引の安全性を害するためとされています
学説では即時取得する肯定説、しない否定説そして、折衷説とがありますが、あくまでも試験対策ということなので、深くは触れずに判例は「占有改定による即時取得」は否定、「指図による占有移転の即時取得」は肯定している立場であると覚えておきたいです
【最判昭57年9月7日】