今回も基礎法学よりの民法をみていきます
◆「売買は賃貸借を破る」
これも有名な法律の諺(法諺)ですよね
簡単に言うと、物権は債権に優先することです
=物権>債権
今回はこの法諺を、動産の場合と、不動産の場合で確認していきます
<動産>
例)時計の場合
AがBに時計を1年間賃貸するとしたが、その期間中にCにその時計を売ってしまった
この場合CはBの持っている時計を自分の物だとBに対して要求することができます
これは時計の所有権はAのものだから、AがBに貸したままであっても売ることは自由な為とされています
まさに、「売買は賃貸借を破る」です
でもこの場合Bさんはどうなってしまうのだろうと気になりますよね
このケースでは、AのBに対する債務不履行となるため、BはAに対して損害賠償請求ができることになります【民415条】
<不動産>
例)土地の場合
Aの土地をBに貸す賃貸借契約を締結し、その期間にその土地をCに売ってしまった場合
→Cはその土地の所有権を取得する
時計の場合と違って不動産である土地であるため、例えばBがその土地の上に建物を建てていた場合はどうなるでしょうか?
賃借人であるBの賃借権はAとの間の債権的な権利であるため、第三者であるCには対抗できません
新所有者のCはBに対し、建物の収去と土地の明渡し請求をすることができることになります(いわゆる「地震売買」と呼ばれるもの)
しかし、それではBさんからしたら、たまったものではないですよね😅
そこで法は、特別法の借地借家法で「不動産は賃貸借を破らない」としています
具体的には、土地の登記簿に賃貸権設定登記をしておけばBは保護されることになります
【民605条】【借地借家法10条】
しかし、現実的には登記をするには賃貸人の協力が必要となります
そこで【借地借家法31条】では借地上の登記ある建物があれば自力で対抗力を備えることができるとしています
また、借家においては登記以外にも、建物の引渡しがあれば対抗要件となり、賃借人の保護を図っています
今回、法諺から物件と債権の関係を動産と不動産のケースでみてみましたが、法がどのような解決を図っているのか面白くないですか?
私は法律の知識など全くない状態で大学に入ったため、このような法律の未知の世界にすごく興味を持ちました
これから法律の勉強を始める方も是非、こんなケースではどうなるのだろうかと、楽しみながら学んでいくと、どんどん知識として吸収されていくと思います☺️