今回は行政法の「行政行為の瑕疵」について確認します
◆行政行為の瑕疵
→行政行為の内容が、違法・不当であるとき、つまり欠陥や欠点、落ち度や手ぬかりがあること
ここで問題となるのが、瑕疵がある行政行為はどうすればいいか?無効になるのか?という点です
瑕疵がある行政行為=ただちに無効になるわけではありません
→これは行政行為には「公定力」があるため
◆瑕疵があるにもかかわらず、瑕疵がないとみなす場合(3つ)
・「瑕疵の治癒」
→元々瑕疵がある行政行為だったが、瑕疵がなくなったものとみなしてもよいとするもの
例)会議を開くのに10人の利害関係人を手紙で呼ぶが、手違いで9人にしか送っていなかった。だけど、他の人から連絡したでちゃんと10人が出席、議決した(実質的に10人が集まった)
・「違法行為の転換」
→本来は瑕疵ある行政行為だが、これを別の角度から見た場合の行政行為としては適法であり、瑕疵がないものとして扱うもの
例)行政庁が土地を買収する連絡をしたが、その人はもう亡くなっていた。その連絡を受けとった人はその土地の相続人で結果的に相続人に対する土地買収通知となった
・「違法性の承継」という考え方
→瑕疵ある行政行為が行われて、連続して行政行為が行われる場合に、2つ目の行政行為も違法となるのかというもの
この点、判例では
=先に行われる行政行為と、次に行われる行政行為でかつ、同じ目的ならば違法性が承継されるとしている
例)土地収用法では、○○を作る(公共性が高い)認定がされ、多くの人が引っ越しをした。しかし、はじめの事業認定に瑕疵があった場合、その後の収用裁決は瑕疵があるとされる
では、連続していても目的が違う行政行為についてもみてみます
例)札幌市の議会で予算の議決があり、その審議に基づいて税金の負荷をした。しかし、後から予算の審議に瑕疵があった場合。このケースは、初めは全体予算であり、税金の負荷は行政目的が異なる個別のものとなります
次回は行政行為の瑕疵が重大明白な場合をみていきたいと思います