今回は会社法の「取締役の義務」について確認していきます
◆善管注意義務
→取締役は社会通念上、取締役に対して要求される程度の注意を用いて職務を遂行しなければならない
取締役はその地位に就任するということは会社との関係でみると委任関係にあるため、委任契約を締結しています【民643条】
委任契約においては、受任者(ここでは取締役)が委任者(会社)に対し善良なる判断の元で注意をする義務を負うことになります【民644条】
取締役は当然とるべき判断をもって経営判断をしたか否かが問題となってきます
◆経営判断原則
→取締役がある決定をした場合に、その決定に合理的な根拠があり、かつ会社の最良の利益になると誠実に信じたのであれば、たとえその結果、会社に損害が生じたとしても取締役はそのことに対して責任は負わないとされます
【福岡高裁昭和55年10月8日】の判例をみてみます
この事件は取締役が会社の倒産の危機に対しての対策として、積極案を取りその結果倒産に至ってしまったものです
最高裁では「取締役はその判断の甘さを指摘される余地はあるにしても、あくまで会社のために良かれと思ってしたことであって、企業人としてはそれなりの合理的選択の範囲を外れたものとは認め難い」としたものです
この判断は、いわゆるビジネスジャッジメントルールを採用したものであるとされています