今回も一般知識の行政機関情報公開法の「存否情報」について確認していきます
前回は「存否情報」はどういったものかをみていきました
存否情報は、不開示決定の理由として、「行政文書はあるともないともいえないが、仮にあるとしても個人情報に該当する」というような記述をしなければなりませんが、現実の不開示決定では、不存在のときは「存否拒否情報」であるとし、行政文書が存在するときは「不開示情報」であると回答するなどとする例があります
判例を一つ確認します
【札幌地判平成16年12月22日北海道警察協力費裏金事件】
この事案は、捜査協力者たる特定個人に支払った謝礼(捜査協力費)の支出関連文書を氏名を特定し、開示請求したものです
これに対して札幌地裁は、
「本件文書の存在を認めることによって、特定捜査協力者の氏名、住所、特定犯罪捜査に協力した事実の有無などの情報が明らかになると考えられるが、被疑者側に捜査協力の事実が発覚した場合、捜査協力者の生命身体などに危害が及ぶおそれがあるため、大多数の捜査協力者が、自ら捜査協力者である事実を秘匿することを求めていることは、一般に想定されるとし、本件対象文書の存否を明らかにすることは、個人のプライバシー侵害に当たると解すべきである」とし、また、本文書の存否を明らかにすることは公安情報を開示することとなるとしました
存否拒否処分をするにあたっては、不開示情報があることが前提であり、立法時には存否情報制度を設けることは、情報公開の範囲を狭めるという反対論もありました
これは、あるともないとも言えないため、どんな文書でも隠せてしまうという懸念です