今回は民法の「占有権の譲渡」について確認します
占有権の譲渡にはいくつか種類があるのでそれぞれ見ていきます
◆現実の引渡【民182条1項】
→これは一般的な占有権の譲渡の方法で、言葉の通りに実際に物を引渡すものです
家などの不動産はそこの鍵を引渡すことで現実の引渡とされます
◆簡易の引渡【民182条2項】
→これは譲受人がすでに占有物を持っているときに意思表示をすることで、占有権を移転させる方法です
例えば、AがBにカメラを貸していて、今はBがそのカメラを所持している場合、Bがそのカメラを買い取るなどAと占有を移転する旨の合意があれば、Bは引渡しを受けたことになるというものです
◆占有改定【民183条】
→物が譲渡人の元にある場合で、その物の占有を譲受人に移転するものです
例えば、Aの元にある機械をBに売ったとします
Aは今後はBのためにその占有代理人として占有するという意思表示をすれば、Bは占有を取得するというものです
◆指図による占有移転【民184条】
→「第三者」の元にある物をそのまま意思表示だけで、譲渡人から譲受人へ占有を移転させるもの
例えば、AがCにカメラを預けている状態で、Aが Cに対して「今後はBのために占有して」と命じるものです
これには条件があり、譲渡人(A)と譲受人(B)との間に占有移転の合意があることが必要です
またその際のCの同意は不要であり、Aが命じるだけでよいとされます
占有権に限らず、権利関係を考えるときには「公信力」について考える必要があります
◆公信力(の原則)…例えば、本当の所有者でないのだが、現に物を所持しているなどあたかもその人が所有者のように見える場合、それを信頼して取引をした者は保護されなければらない原則
この「公信力」を常に意識しておくと、占有権などの問題を解いていく際に理解しやすくなると思います💡