今回も民法の「種類債権」の続きです
前回は不特定物債権は特定をすると、ある物が具体的な目的物となることを見ていきました(民401条2項)
では、その「特定」はどのようなことをしたら「特定された」ことになるのかを確認していきます
◆「特定」の要件(3つ)
①当事者の合意
②必要な行為の完了
・引渡しに必要な行為をした場合
→「持参債務」…債務者が目的物を持参して給付し、債権者がただ受領すればよい
例)酒屋さんが注文したビールを持ってくるなどこの場合はすぐに特定される
→「取立債務」…こちらは持参の逆です
例)酒屋さんに電話をして、酒屋さんがその人のためにその商品をとっておいた時に特定される
→「送付債務」…債務者が債権者の第三の場所へ送付の手配をすることを義務付けられている債務で、債務者は送付(運送)の取次をし、運送人に目的物を引渡せば特定したことになる
③当事者の一方または第三者に設定権を与えた場合【民401条の後段】
これらの3要件のどれかを満たせば「特定物」となります
「特定」についての判例では【漁業用タール事件】が有名です
この判例は少し難しいものですが、「特定」の要件を理解するにはとても良い事例となっていますので是非一度目を通しておいてほしいです📖