今回は憲法の「89条の論点」について確認していきます
◆憲法89条の前段
=「宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のために、公金の支出、公の財産の供用をしてはならない」
これは政教分離の原則を、国の財政の面からも念押ししたもの
例えば「公の支配に属している」つまり、「国公立(国営、公営)である」ならば、私学助成制度は違憲になることなります
◆憲法89条後段
「公の支配に属しない、教育若しくは博愛の事業に対し、公金の支出、公の財産の供用をしてはならない」
・趣旨(狙い)
→あまり明確でないとの批判が多い
多数説=「公費濫用防止説」
→私的事業に対して公的補助を行う場合には、公費、公有財産の濫用をきさないように、財政民主主義の観点から、事業を財政面で一定の公的な監督に服させるべきという趣旨とするもの
・憲法89条後段の「公の支配の意味」
→「公の支配」を広い意味で解し、「事業の財産面で、国または地方公共団体が一定の監督を及ぼせること」と捉えます
公費濫用防止説を前提として、公費濫用防止という狙いを実現できる程度の監督を及ぼすのであれば、それで「公の支配」が及んでいるといえるとしています