今回は行政法の「行政行為の瑕疵が重大明白な場合」について確認します
◆行政行為の瑕疵が重大明白な場合
→瑕疵が甚だしい場合には、「公定力」が発生せず”無効”となります
では、どの程度が重大明白にあたるのかの線引きについて学説をみていきたいと思います
◆重大明白説
・主体に瑕疵がある場合
→全く権限がないのに、あるかのように装って行政行為を行ったなど
・形式に瑕疵がある場合
→書面で行われないといけないものを、口頭で伝えたなど、法律上一定の行為が記されているのにそれをやらなかったなど
・手続きに瑕疵がある場合
→法律上、必ずこうしなければならないのに、それをやらなかったなど
・内容の瑕疵
→決定的な内容が間違っているなど
例えば、土地収用裁決の住所が間違っていた、公務員を懲戒免職にしたが人違いだった
これらは重大明白な瑕疵として無効となります
また、重大明白とまではいえないが、違法な瑕疵である場合は取消すことができることになります
では、誰が取消すのかについてみていきます
取消すのは「裁判所」または「行政庁」です
◆裁判所が取消す場合
裁判所は国民からの取消訴訟などの提起を受け、その判決によって当該行政行為を取消す
(違法と認めた場合)
◆行政庁が取消す場合
・「争訟取消」
→他から取消した方がよいとされた場合
・「職権取消」
→行政庁が自主的に取消す場合
※取消の効果は行政行為の時に遡ります(=遡及効)
しかし、行政庁が職権でしょっちゅう取消を行うと国民の信頼を失いますよね😅
そこで、職権取消の制限に関する基準をみてみます
・「侵害的行政行為」
→最初の行政行為が相手方の権利利益を侵害する内容の行政行為だった場合
=行政庁は自由に職権取消をしてもよい
これは、国民からしたら○○しなくてもよくなったというもの。例えば納税など
・「受益的行政行為」
→最初の行政行為が相手方に権利利益を与えるような内容の行政行為
これは国民からすると、ぬか喜びとなってしまうため、次の2つの場合にのみ職権取消しが認められます
1…相手方が不正行為をしていた場合
例)年金の不正受給など
2…相手側の利益を上回る公益がある場合
例)返還命令を出すなど、その人は困るが公益があれば我慢してもらうことになる
最近の試験は年々難化傾向にあり、また今年も受験者数が去年よりも増えているため今年もやはり難化が予想されます…
以前はあまり聞いてこなかった学説の知識も聞かれる可能性があるため少し細かくみてみました🙇♂️